犬を飼っている。
まだ飼い始めて1年程度であるが、すっかりモッコリ家族の一員である。
以前はカミさんが実家から連れてきた20歳の化け猫が家にいたが、私は幼少期より犬派であり、化け猫が御臨終すれば犬を飼いたいと思っていた。
2年程前、その化け猫は2度に亘る逃走の末、家に戻ってこなくなった。猫は死に際を見せない、なんて言うがそれなのであろうか、はたまたボケて戻ってこれなくなったか、何処かでまだ生き延びているか…。
疑われたくないからこの際ハッキリ言う、私が山に捨ててきたわけではない。
年老いてから住処を変えられストレスにもなっていただろう…引き取り手もいないので我が家に来たことはやむを得なかった。
化け猫が居なくなり、私が「犬を飼いたい!」と騒ぎ始めると、妻と子供2人は「猫がいい!」と騒ぎ始めた。
騒がしい一家だ。
私は犬の良さを家族の前で演説するも、スティーブジョブスのようにはいかない。
ジーパンにTシャツに裸足でも上手くいかない。
メガネかけてないからかな…。
そもそも子供達も化け猫に触れ合っていたので、猫の良さはわかっていても、犬の良さを知らないのだ。
それではこのジョブスもどきが教えてあげよう。
犬の良さを知ってもらうため、近所のペットショップから隣県まで足を伸ばし、時にはショップの好意でケージ内の犬をダッコさせてもらうなど、犬に対する心の壁を取り除いていく。
家族もようやく乗り気になってきたが、我が家の財布が乗り気になってくれない。
私はフレンチブルドックやボストンテリアが好きなのだが、あるペットショップではフレンチブルドックが50万円超で売られていた。
50万円…これって
もはや中古車じゃん
しかもケージにいるこの中古車、移動できない、時間もわからない、涼しくもならない中古車。ただ可愛くてクソをするというだけの中古車じゃん。
その他のペットショップでも、犬種によって異なるが諸費用込みでざっと平均20万円。そんなものなのかもしれないが、どうしてこうも金に悩まされるのだろう…
それは物欲が強いからだね。
買いもしないのに「ペットショップに行く」こと自体が趣味化してきたが、その時がやってきた。出会いとは突然来るものだ。
昨年の正月明け、私の用事でDCMホーマックに家族で行った。私がホームセンターにばかり行くので、子供達はホームセンター嫌いになってしまったのだが、正月は決まって暇であり、無理くり連れて行った。
ホーマックの店舗には他社が運営するペットショップがテナントとして入っており、これまで何度かウィンドウショッピングしたことがある。
あくまで「ウィンドウ」である。
私が工具コーナーで必要な部品を物色していると、次男が大声でペットショップ側から走ってきた。
次男「お父さん!犬が3万円!!」
私「3万円ってあんた、そなこというてますけど…。」
方言が変わってしまっても無理はない。
「3万円!」「3万円!」って、周りのお客様に迷惑というか恥ずかしいが、次男と一緒に私も走る。
次男に手を引かれペットショップの方に連れて行かれる。
その時頭をよぎる。ペットショップでは値札の価格表示はあくまで生体価格で、これまでペットショップ側が処方したワクチンや狂犬病予防代、やれ保険パック代、その他モロモロ諸星和己で10万位上乗せされることを実際この目で見てきた。
どうせその類だと思った。
連れてこられてその犬を見る。
ケージにはチワワがいた。説明書を見ると、チワワとマルチーズのミックスと。ただ、マルチーズ感はゼロ、ただのクリーム色のチワワだ。カワユイ。
値札にはこうある。
「当店は安心コミコミ価格 ¥30,000」
まーじ⁉️
犬を抱かせてもらう。あったかい、犬だ。いきてる。当たり前だ。
店員さんが説明してくれる。オスなので、タマタマが二個あることを手で確かめ、歯の状態も見せてくれる。
恐る恐る価格の話をしてみる。
私「別途費用かかるんですよね?」
私はその他モロモロ諸見里しのぶを恐る。
店員「いえ。ワクチン代等込みなので…」
と電卓を叩くと
店員「諸費用の2万8千円が含まれて3万円です」
まーじ⁉️
生体価格2千円ってこと⁉️
落ち着いて考えようと一旦家に帰るが、そもそも正月特価とも表示してあったし、誰かに買われちゃうかもとの心配から、すぐ連絡を入れた。一週間で一通りアイテムを揃えて、翌週犬を引き取りに行くことにした。
ここでハッキリ言っておく。
いいかい、生き物の価値って値段じゃないよ。愛情を持って接すれば、50万円だっていい。高い、安いで決めるものではない。生き物には値段などとは次元の違う、生き物としての価値があるんだ。
ハッキリ言っておく、3万円だから買ったのではない!フィーリングが合ったんだ!!
と力説したいが、要は
3万円だから我々は買えた
一週間で一通りのアイテムを揃えて、犬代も払う。不思議だったのはカミさんは当たり前のように「自分の小遣いで払ってね」と言う。どこから来るんだ、その自信。
みんなの犬じゃないか?やっぱり猫がよかったのかな…。
そんなこんなで、今一番犬を溺愛しているのは紛れもなくカミさんだ。休日の散歩は私がかって出るが、その他は毎日カミさんだ、偉いぞカミさん。
長男は当初は犬アレルギーがとまらず、唇や顔を腫らしていたが、ようやく治った。
犬がいるからリビングに来れなかったらこりゃ息子が可哀想だ。だから治ってよかった。でも抱っこしながら寝てると、たまにタラコみたいな唇に変身する。
次男は犬の扱いが雑だが、犬も次男の扱いが雑だ。きっとお互いがお互いを下に見ていると思う。
それと、次男は犬をからかう際、いつも
シャクレ顔になる。
犬の名は「チョビ丸」、チョビっとマルチーズから取って、カミさんが名付けた。愛称「チョビ」だ。
私は3万円だったので「サンマ」を推したが、家族に反対された。小遣いで買ったの私なのに…。
休日は可能な限り私が散歩する。
白鳥はどちらかといえば
うるさい。
そして
チョビ丸だ。
チョビはオスなので足上げでオシッコするが、足上げポーズのままウンコすることがある。
あれやめてもらいたい。
不意を突かれる。
ビニール袋の準備というか、こちらの心の準備ができてない。出来れば肛門からほぼ直でビニールに取り入れたい。
とれて3日以内の卵をしか使わない、のと似てる。
ソフトクリームをコーンカップに巻く、のと似てる。
地面にすら着かない新鮮なウンコを目指している。
あと全ての杭という杭で立ち止まって、他の犬の痕跡を探すの
あれやめてもらいたい。
いちいちやってると日が暮れる。あなたの人生(犬生)せいぜいあと15年、杭という杭をクンクン探し回っているの、限られた時間の使い方が勿体ないと思う。
これだけ冬場寒いと、ビニール袋に入った取れたてホヤホヤのウンコが温かい。
ホッカイロ替わりになる。週末もウンコビニールで素手を温めて散歩いきますか。
しかし、なんで熱帯魚はペットというより、趣味と呼ばれるんだろう。
「犬が趣味」てのは変な言い回しだが、「熱帯魚が趣味」なら変ではない。